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J.M

海外渡航経験談

 私が某メーカーの海外部署で中近東地区の担当をしていた30年ほど前の経験談です。 大阪からサウジアラビアのジェッダへ商業ビザで入国し、国内移動でリヤドへ飛びそこでの業務 を終え、リヤドから次の目的地イスラエルのテルアビブを目指していました。

 でも移動日が都合よく週末と重なり、一旦ギリシャのアテネで“観光休息”して、イスラエルの テルアビブに向かう“寄り道”変更にしました。朝ホテルをチェックアウトしてルンルン気分でリ ヤドの空港へ行きました。


第1回目の問題が勃発:ナント運悪くアテネ空港が数日間ストライキ中でフライトはキャンセル。 仕方なしに一度ホテルへ戻り、アテネ行は断念して代替えコースを模索しました。現在もそうです が、当時もイスラエルとアラブ諸国とは反目し合って国交は限定されており、サウジアラビアから イスラエルへ直行便はなく、第三国経由便の入国方法しかありませんでした。その条件下で、リヤ ドからエジプトのカイロ経由でイスラエルのテルアビブ入りが時間的、地理的に最善策として選択 し、翌日リヤド空港でそれら航空券を購入し、リヤドを発ちカイロ空港に到着しました。


第2回目の問題:イスラエルの航空機の発着空港はリヤドからの到着空港とは違いバス移動する 離れた場所にあるので、一旦エジプトに入国手続きが必要だと初めて知りました。 エジプトの入国ビザは取得していないので入国出来ず、海外便乗り換えフロアを困惑顔でウロウ ロさ迷っていると、空港職員風(?)の男が私に近寄って来て、「どうしたのか?」と声を掛けられ、 彼に説明すると、「短期ビザで入出国は可能なので、私が直ぐに取得してあげる。」とのこと、渡航 中用心深い私ですが、イスラエル接続便の搭乗時間が迫って来ており、渡りに船で、短期ビザ費用 と手数料+チップ(?)と私のパスポートを手渡し依頼しました。すると彼は「ここで少し待って なさい。」と言い残し空港事務所の方向へ消え去りました。30分前後待つが彼はなかなか現れず、 不安が募り始め、払った金銭はともかくパスポートを手放したのは大失策だったのか、と後悔し始 めました。彼の戻りの待ち時間がとても長く感じ始めたその時、神様仏様アラーの神よ!パスポー トらしきものを持った彼が現れ、貼付短期ビザシールを示してくれ思わず泣きそうになりました。 彼に何回も謝意を表し、そして問題なくエジプト入国ゲートを通過し別の空港へバス移動し、予定 のイスラエル便チェックインを終え、エジプト出国ゲートを出ました。搭乗前にイスラエル係官か らかなり厳重なセキュリティチェックがあり、対面口頭インタビューでは入国目的や滞在日数など 質問があり、難なく答えました。


第3回目の問題:そしてさらに搭乗口に進むと別のイスラエル係官から同様な質問を受けたので 安易に応答すると、先ほどのインタビュー内容と異なると言われ、搭乗を保留されました。その間 他の乗客は搭乗しているので、ヤキモキしていると出発時間ギリギリで搭乗許可され、これでやっ とテルアビブへ行けると安堵して搭乗し座席に着きました。 イスラエル便はカイロを定刻離陸し機窓から夜の空を眺めていると、ランプ点滅しながら並飛行 する複数の戦闘機が垣間見えました。


第4回目の問題:機内で落ち着くとエアコンが効き涼しいので、最初は水鼻かなと思いティシュ で拭うと普段は打撲でしか出ない鼻血でした。リヤドからの緊張感や精神的疲労のせいかなと考え ていると、キャビンアテンダントではなく、最前席にいたイスラエル兵士らしき男が鼻血を抑えて いる私に近づき、「どうしたのだ?」と聞いてきたので、血を見て話がややこしくなるのではと思 い、とっさに「のぼせた。」と答えて難なきを得ました。

 やがてテルアビブ空港に着陸し、エジプトで受けたのと同じセキュリティチェック、身体検査、 インタビューを経て、イスラエル入国印をパスポートにではなく、別白紙に押印してもらい(イス ラエル入国履歴があるとアラブ諸国に入国拒否される為)無事に入国し、そして業務の合間に死海 で日光浴や浮き泳ぎなどで今回の旅の疲れを癒しました。


 当時の背景には、イスラエルがアラブ諸国と反目状態にあり、戦闘機の民間機の並飛行(護衛) や厳格なセキュリティチェックなど、またテルアビブ空港での日本赤軍の乱射事件で特に日本人に は厳重チェックがあることを肌で感じた次第です。

  今までの公私共の海外渡航歴の中で、問題発生は多かれ少なかれ有りますが、この様に一つの旅 程で4回も出くわしたことはなく未だ鮮明に記憶に留まっています。(笑)



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